日本がすべき、オリンピックサッカー

北京五輪グループリーグ3戦全敗、得点1失点4で最下位。


「メダルを狙える。」


反町監督のあの言葉を信じた僕が、いけなかったんでしょうか。
はっきり言って、野球の星野JAPANよりも酷い結果、惨敗。
確かに、選手団団長がJリーグやサッカー協会への、目に見える働きかけをしていないのに、あそこまで言えるかは疑問です。JOCJリーグへの変則日程の打診をすべきです。ただ、言われても仕方がない結果なのが事実です。


まず一つ目は、オーバーエイジの未使用。現代サッカー、ベテランなくして勝利なし。ブラジルのロナウジーニョ、アルゼンチンのリケルメをはじめ、各強豪国ですら24歳以上の選手を招集してるわけです。しかも、JリーグJリーグのチームより、頑固なヨーロッパのクラブチームをしっかり説得してです。ワールドカップチャンピオンズリーグ、EUROを経験している選手がいるチームとは経験差があることは間違いありません。

二つ目は、攻撃力の低さ。チャンスを作るのがサッカーではなく、点を取るのがサッカー。確かに、セットプレーのアイディア、スピード、精度、パターンの豊富さは、世界でもトップクラスだと思います。なのに何故、世界を相手にすると勝てないか。ラストタッチの差だと思います。
特に顕著に現れたのが、初戦アメリカ戦のコーナーキックから森重のシュートまでのプレー。あのショートコーナーは、ぴか一。はっきり言って感動もの。あれが見れたことが、あの試合を見ていた価値だといっても過言ではないぐらいの素晴らしいもの。しかし、森重のラストタッチ。点を取れないなら、チャンスを数多く作ればいいという人もいますが、そんな甘いこと言ってられない。点を取れないなら、ラストタッチの精度を磨くべきです。チャンスを沢山作れるほど、世界は甘くない。

三つ目は、オリンピックに合わせたチーム作り。今大会、前回大会と果たして五輪重視の徹底体制だったかというと、そういうわけでもない。確かに、メダルを取ることだけが、目標ではないのかもしれない。しかし、このボロボロさは何事かと。嘉人の招集拒否、ヤットの体調不良、メンバー構成の不信感。アジア予選からの不振。18人という少数で勝負をしなきゃいけない過酷な大会で、こんなごたごたで望むことが果たして正しいのか。僕は、出場すること自体は、ワールドカップと同様、もしくはそれ以上の困難を極める大会だと思ってます。しかしながら、予選から、本大会までを見通したチーム作りが果たして出来ていたのか。

この世代が、A代表を背負わなきゃいけない時代になった時、どういうサッカーをするのか非常に心配です。本田の無回転シュート、平山のヘディングシュートなどなど…鳴り物騒ぎの”武器”はたくさんあるようですが、”武器”なんぞ要らんわけっていうのがよく分かった。他のチームにそんな個人の”武器”っていうのが必要だった?金メダルのアルゼンチンに然り、銀メダルのナイジェリア、銅のブラジルに然り、必要だったのか。メッシが抜群なドリブルを見せたのか。ロナウジーニョがファンタスティックなプレーを見せたのか。個人の力は基礎であり、応用。個人の武器は勝てるチームに必要であり、今の日本に必要なのは勝てる力を付けること。

スペインがEUROで優勝できたのは、”チームとしての”パスワークがあったから。
残念ながら、個人の武器は今、求められていないのが現実です。無回転シュートもトリッキーなプレーも求められていない現実を、ちゃんと考える必要があるんじゃないですか?

だから、俊輔も今や、ファンタジスタと呼ばれなくなったんです。